有名な荒神山の出入りを、広沢虎造の浪曲や歌で話を進めて行きます。
ミュージカルとまではいかないまでも一種の音楽映画になっています。
キャストから見た通りの喜劇調で、
三下の川田晴久、新入りの田端義夫のコンビが愉快。

虎造のコワい次郎長、金語楼のどケチな安濃徳、
高田浩吉のカッコいい吉良の仁吉、
古川ロッパの心優しい緒方洪庵など、それぞれ適役で愉しい。

脚本八住利雄。清水次郎長＝広沢虎造、吉良の仁吉＝高田浩吉、安濃徳＝柳家金語楼、角井門之助＝伴淳三郎他。「荒神山」の世界に田端義夫と川田晴久のコンビがさまよい込んでのドタバタ時代劇。二人はボブ・ホープとビング・クロスビーが下敷きと分かる。泣きを含めてベースのお話の型を守りつつ、歌と笑いで面白おかしく茶化して快調、崩れすぎずグダグダにならぬ匙加減が良い。のびのびと演技の田端・川田コンビ楽しく、さんざんウロチョロした挙げ句、ヤクザもうゴメン、カタギがいちばんとなる。脇では金語楼のドケチ親分、堺駿二の飯炊き婆さんが特に可笑しい。快作。