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キカのkanacoのレビュー・感想・評価

キカ(1993年製作の映画)
3.6
アルモドバル監督×ゴルチエ衣装のタッグ。ビビットなカラーが映えてオシャレセンスがキラリと光る美術や衣装が抜群に素敵💖風変りでクセの強い人間ドラマとサスペンスが混ざり合う、倫理観がぶっとび系のストーリー。ネジがちょっと緩んでいる🔩🤔『間違ってる、でも魅力的』という言葉に尽きるような作品(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

近々、世界的ファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエの半生を描くランウェイ・ミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』を鑑賞に行くので予習(台風よ去れ~😭)⑤

◆あらすじ◆
〈メイクアップアーティストのキカ〉は〈年下の恋人でカメラマンのラモン〉と同棲をしている。その一方で上の階に暮らす〈ラモンの父親で作家のニコラス〉とも関係を持っていた。ある日、キカは〈レズビアンでキカに恋をしているメイド・ファナ〉の弟である〈刑務所から脱走してきたレイプ魔・ポール〉に襲われてしまう。さらに、スキャンダルを放送する〈ワイドショーレポーターのアンドレア〉にスクープされてその映像をTVで流されてしまい…。

❶みんなネジが緩み気味!?倫理観がぶっとび系の人間ドラマとサスペンス

『バッド・エデュケーション』と同じくペドロ・アルモドバル監督×ジャンポール・ゴルチエ衣装のタッグ。ビビットなカラーが映えてオシャレセンスがキラリと光る美術や衣装が抜群。とても風変りでクセの強い人間ドラマとサスペンスが混ざり合う、倫理観がぶっとんでいるストーリー。みんなネジがちょっと緩んでいる🔩🤔

何よりもキャラクターがとても独特。全員揃って自由奔放。節操がない集団がバラバラなまま、でも何となくうまい具合に絡みあって物語を綴っていく。誰かが誰かに「なんて神経しているの!」みたいなセリフで攻めていましたが、全員がお互いに指さして「オマエモナー」としか言いようがない😂全員他人に嘘つきだけど、自分には気持ちいいくらい正直。

主人公はステータスが〈愛嬌〉に振り切れているような、恋多きオシャレ中年女性のキカ。でも彼女が主人公であることを一時忘れるくらいにクセのある他の登場人物たちのエピソードが描かれる。女たちはマシンガントーク、男たちはオトボケ気味。全てのキャラクターの自己主張が強くて、私は誰ともお友達になれなそう…。

それにも関わらず、スペイン語のまくし立てるような早いテンポの会話が思いの外に心地よく、後半へ向かってサスペンス色が濃くなっていく様子に飽きることなく、そして近寄りたくないけど〈否応なしに目を惹く〉登場人物たちの思いにもよらない言動によって、映画自体はけっこう面白かった😀

❷強い発色のカラフルな美術や個性的なファッションが魅力!

私の目的、ジャンポール・ゴルチエは衣装を担当したとのこと。

美術(家具や壁の色、小物などの画面端々まで豊かなセンス!)や衣装デザインを含め「赤」が強調されている。全体的にカラフルでビビット。私も普段ビビットカラーなど強めの色のファッション(ウィンター色系が好み🤗)が好きで選びがち。その意味でも今作は(一応)舞台が現代寄りということもあってデザインを見ているのが楽しかったです。

特に女性陣…キカやファナの衣装がとても良い(私はあんな肌が露出していて色も柄も主張が強すぎる服は、さすがに着られないけど…🤣)!ただし、女レポーターのアンドレアの服装だけは別!あれは尖りすぎていて衝撃が走る(笑)頭にカメラを着けたロボチックな衣装や、胸が全て露出して血(?)を流しているデザインのブラックドレス(ジャケットの服ですね)は一度見たら忘れないかも😂

👗🐝「服、キャラクター、ストーリーどこをとっても個性派です。もしかしたら、怒る人は怒るような空気感で物語が進んでしまうかも…🤔それでも、カラリとした乾いた人間ドラマがクセになります。人は選ぶと思いますが、好きな人は好きかも。見て楽しいが、考えなくても変。本作のセリフの1つ、『間違ってる でも魅力的!』という言葉に尽きるような作品でした」
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