あきしげ

セルのあきしげのレビュー・感想・評価

セル(2015年製作の映画)
2.5
主人公にとって正解、他者にとって不正解。

良かった点。

・冒頭のパニックシーン
・アクの少ない登場人物

悪かった点。

・なぜ主人公先導で行動するのか
・結局、原因は不明のまま丸投げ

スティーヴン・キングの小説が原作。
スティーヴン・キングが脚本を書く。
スティーヴン・キング色の作品です。

これまで様々な作品を提供したマルチ作家。
『キャリー』
『シャイニング』
『スタンド・バイ・ミー』
『ショーシャンクの空に』
『グリーン・マイル』
『ミスト』
彼の作品を挙げていくだけでもキリがない。

ほとんどが名作と言える作品群。
その中には駄作というのもある。
残念ながら本作は駄作寄りです。

冒頭での空港のパニックシーンは非常に良い。
理由も分からず凶暴化した人間に襲われます。
まるで感染系ホラー映画のような激しさです。

当然ながら主人公はずっと正解を引きます。
幸運にも元軍人の地下鉄の運転士を仲間に。
行く場所では手がかりや安全を確保します。
本来なら食料に困るのに豊富すぎて無問題。

トントン拍子に物語が進んでいくのも悪くない。
ただ、大問題として主人公の目的だと言えます。
凶暴化した人間たちの原因よりも妻と息子です。
つまり、最初から原因なんかどうでもいいです。
これはまるで『宇宙戦争』を観ている感じです。
別に主人公が物語の中核を担っていないのです。
だから主人公が主人公である必要性がないです。
しかし、それはマズイので強引な結びつけする。

その結果があのような結末を迎える。
どう考えても未来のない選択である。
でも、それは主人公にとっての正解。
他人から見てしまうと明かな不正解。
原因が放棄された以上残された選択。
主人公になった理由が分かるのです。

登場人物たちも基本的にキャラクターが薄い。
主人公や助けてくれる地下鉄の運転士も薄い。
ただ、演じる役者たちが濃いから印象に残る。

スティーヴン・キングが大好きな怪物も出てきます。
ですが、今回は思っていたよりもインパクトが薄い。

結末で原因が分かればもっと良い作品になった。
それをしなかったのは時間と予算の問題だろう。
映画として収めるには仕方ない選択だと感じた。
あきしげ

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