かじドゥンドゥン

砂塵にさまようのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

砂塵にさまよう(2003年製作の映画)
3.2
青年ナザレは、若妻の母が娼婦であるという噂を聞いた自分の両親から強制されて、離婚。しかし愛する妻に独り立ちの資金を渡してやりたいと強く願い、蛇獲りの男について荒野の真ん中へやってくる。相手にしてくれない男にしつこくつきまとい、ようやく道具を貸してもらって、最初の獲物を仕留めたが、浮かれていたところで指を嚙まれ、蛇獲りの男に泣きつく。男は、青年の左薬指を切断することで毒の回りを防ぎ、落とした指を氷漬けにして、しぶしぶナザレを病院へと移送する。

車内で、痛みを紛らわすための身の上話が始まり、蛇獲りの男は、妻に目をつけた男を殺して無期懲役になり、妻は蒸発、彼自身は脱走して現在に至るということが明らかになる。他方、ナザレは、離婚に至る経緯のみならず、実は彼女の母が娼婦であることを知った上で結婚したのだということを明かし、それを聞いた蛇獲り男の態度が変わる。

蛇獲り男は、意気地無しに見えた青年の、元妻に対する逞しい愛に同情したのか、私立病院での指接合手術の代金として、自分が蓄えた金を支出してやる。しかし青年は、指を欠いたまま、金だけをもって病院を脱走し、さっそく元妻がミシンを買って裁縫で身を立てられるよう、せしめた金をすべて手渡す。この振る舞いは、蛇獲り男を裏切ったようで、実は、彼の本意にかなったことなのかもしれない。男は青年のこういうところに、ほだされたに違いない。