笹井ヨシキ

ワンダーウーマンの笹井ヨシキのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

DCEUの作品は個人的に徐々に良くなってきていると思うのですが、手放しに褒める作品もなく、期待半分不安半分という感じで観ました。

でも今回は素直に面白かった!

ガル・ガドットの魅力が存分に引き出されていたし、アクションも見応えがあり、「BvS」に至るまでのキャラクターの掘り下げが違和感なくされている作品だと思いました。

まず何よりアクションが良かった!

DCEUは「BvS」の時でも対人間レベルのアクションはかなり良かったと思うのですが、今作は盛り上げ方が抜群に巧くて、
ノーマンズランドを友禅と歩き弾丸をいなしていくシーンは目の前の人間を救わずにはいられない理想を掲げる格好良さがあったし、室内での戦闘も予告編で散々みたはずなのにハンス・ジマーの音楽と合わさると鳥肌が止まらなくて無条件にアガりました!

序盤のアマゾンとドイツ軍の戦闘も珍しく明るい場所で外連味溢れる絵面も迫力あったし、スティーブたちとのチームプレイも良かったです。

ガル・ガドットのルックの訴求力は相変わらず抜群なのですが、「BvS」では見せなかったキュートな一面も見どころの一つですよね。
主体性はあるけど社会性はないダイアナならではの好奇心溢れる姿が可愛らしくてユーモラスだったし、アマゾン社会でしか生きてこなかった彼女が人間社会への興味をスティーブへの恋心に重ね合わせるロマンスも自然な形で挿入されており、ダイアナが人間への理解を深めるのに必要な恋愛描写だと思いました。

人間は過ちを繰り返すと悟ったダイアナが、それでも今日を救うために犠牲になったスティーブの想いを継承し、同時に独りで成し得る正義の限界を思い知らされる一連の流れは、「BvS」で彼女が仲間集めに尽力するに至った動機の補完にもなっていて納得度が高かったです。

DCEU全体で見ても、最初から最後まで独りで正義の重みに悩み続け、その癖救われたはずの市井の人々が眼中になかった「マン・オブ・スティール」より格段の進歩を遂げていると思いました。

不満点もあって、まずアレスとの戦闘がいつものDCEUすぎる所ですね。

対人間レベルのアクションは良いのに、超人同士の戦闘になると途端に画面は暗くなり、抽象化された絵作りに普請してしまうのは何とかならないもんですかね。デヴィッド・シューリスが黒幕というのも意外性がないなぁと思ってしまいました。

脚本も腑に落ちないところが少なくなかったように思います。

序盤でロビン・ライト演じるアンティオペがダイアナを庇って死亡するわけですが、ダイアナはドイツ兵の銃弾など効かないはずなのに何故庇う必要があったんでしょうか?
アンティオペがダイアナが神だという事を知らなかったはずはないと思うし、ダイアナが覚醒しアレスに気づかれるのを恐れたためという理屈は序盤で示されますが、最後まで映画を観てみるとダイアナが明確に覚醒するのはアレスに真相を教えられた後であり、覚醒しなくてもダイアナの存在に気づいています。
まあこれはアレス側の視点が入っていないため描きにくかったんでしょうが、自分にはどうもアンティオペが犬死のような気がしてしまいモヤモヤしてしまいました。

あと「元凶とされる一人を殺しても人々は争いをやめない」と戦争の複雑さにダイアナの単純化した思想が改められるという描写は良いのですが、最終的には「アレスを倒したら人々は争いをやめた」ように描写されているのもチグハグだなぁと。
色々なところに配慮した結果のバランスなんでしょうが、例えばアレスを倒した後の事後処理に奮闘する描写が少しでもあれば、この歪さは収まるのかなぁとも思いました。

ついでにこれは自分の注意不足なのかもしれませんが、マル博士って結局どうなったんでしたっけ?ダイアナに戦車に潰されたのか見逃されたのか、何だか暗くてよく見えませんでしたw

とはいえガル・ガドット演じるワンダーウーマンに会えるならDCEUに喜んで今後付き合っていこうと思えた快作でした!「ジャスティスリーグ」も楽しみです!
笹井ヨシキ

笹井ヨシキ