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リリーのすべてのYYamadaのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈世界で初めて女性に変身した男〉
 ~世界初の性別適合手術 / 1930-31年
・場所: デンマーク/コペンハーゲン
・人物: アイナー・ヴェイナー
    →リリー・エルベ

〈見処〉
①無償の愛の物語
・『リリーのすべて』(原題:「 The Danish Girl」=「デンマークの女性」)は、2015年に製作された、イギリス・アメリカ・ドイツ合作の伝記映画。
・舞台は1926年のデンマーク、コペンハーゲン。風景画家のアイナー・ベルナー(エディ・レッドメイン)は、肖像画家の妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自身の内側に潜む女性、「リリー」の存在を意識する。
・以来、「リリー」として過ごす時間が増えていくアイナーは、心と身体が一致しない現実に葛藤。ゲルダも夫の様子に戸惑うが、次第にリリーに対する理解を深めていく…(eiga.comより抜粋)。
・本作はアメリカ人作家のデヴィッド・エバーショフが2000年に刊行した 「The Danish Girl 」(邦題「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語)を映画化したものであるが、本作の描く時期や結末は史実と異なるようだ。
・本作のテーマは、アイナー/リリーによる、「時代に早すぎた性同一性障害の苦悩」と、妻ゲルダによる「リリーを認めること=最愛の夫を失うこと」の2つの葛藤。性別を超える、2人の愛の形について考えさせられる作品となっている。

②映画化への道のり
・本作は原作の出版後に、当時のトップ女優、ニコール・キッドマンがアイナー/リリーの配役に興味を持ち、自らプロデューサーとしても名乗りを上げたものの、映画化実現には至らなかった企画。
・その後、2009年には『裏切りのサーカス』を手掛けることになるスウェーデン人監督トーマス・アルフレッドソンにより、企画が再開。
・さらに2011年には、『サイダーハウス・ルール 』ラッセ・ハルストレムに監督が引き継がれ、キャスティングが開始されたが、ゲルダ役の配役に難航し、シャーリーズ・セロン、グウィネス・パルトロー、ユマ・サーマンマリオン・コティヤール、レイチェル・ワイズに打診をするが成約に至らなかった。
・難航する企画なの風向きが変わったのは、2014年に『英国王のスピーチ』 (2010)、『レ・ミゼラブル 』 (2012)にて、ヒット作品を連発するトム・フーパーを監督に据えたことによる。
・トム・フーパーは、『レ・ミゼラブル』にて接点があり『博士と彼女のセオリー』にてアカデミー受賞したばかりのエディ・レッドメインと、『エクス・マキナ』
『コードネーム U.N.C.L.E.』にて、主演女優の道を歩き出したアリシア・ヴィキャンデルという、最も旬な俳優2人をキャスティング。10年越しの映画化に至った。
・なお、当初企画に携わっていたニコール・キッドマンにとって、本作の完成は悲願、10年以上の時間が経過していたが、、映画の完成をとても喜んだそうだ。

③結び…本作の見処は?
「食わず嫌い」でずっと避けていた作品。もっと早く見ておけば良かった。。
○リリーとゲルダによる友情<>愛情。新鮮に感じることが出来る。
○: アイナーが、自身に秘める「リリー」に気が付いた描写がとても丁寧に描かれており、「自分にも同じことが起きる可能性もあるのではないか?」と錯覚するくらい、非常に説得力あり。
○: 今から90年前とは思えない衝撃的な手術。
○: 本作でアカデミー助演女優賞を獲得した、妻ゲルダを演じるアリシア・ヴィキャンデルがとにかく美しい。彼女の凄さは、出演作全てで同等の感想を持てるが、作品毎にイメージが異なり、アリシアとさえ気付くことが出来ないほどだ。
○: まるで絵本のようなコペンハーゲンの風景が作品質を高めている。
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