このレビューはネタバレを含みます
すごい哀しい作品だった
幼少期男の子になりたくて男の格好しかしなかった自分が1番辛かったことが周囲の否定だったことを思い出した。
自分が自分ではない感覚は恐ろしい。
押さえ込んでいくうちに病んで死に向かうほどにそれはすごく居心地の悪い感覚だ。
人間は集団の中で生きていく生き物だけど、こういった感覚を持つものほどそれはひどく苦しい。
他人を変えることはできないから、自己肯定する強さを身につけ続けるしかなく、それはすごく難しいこと。
今は割と、いわゆるマイノリティ側も受け入れられやすくなった時代ではあるけど、この時代にこの感覚はさぞ辛かっただろうなと思うと心底胸が痛む。
こういった人が声を上げ続けてきたおかげで少しずつ時代が変わって今があるのだろうなと思うと敬意しかない。
常々普通ってなんだろうな。と思うし本当は悪などなくて、決めつけてるのはただの大多数の人間なのかもしれないなと思うと、自分の中にある偏見や差別の気持ちも気づいた時に都度省みていきたい。
ゲルダが最後まで支え続けたわけだけど、ゲルダも多分リリーが居ないと生きていけないほどの依存してたんだろうなあと思った。つらい。
リリーは最期幸せだったのかな。と思うと決してそうだとも言い切れず、美しいけどなんだか悲しい作品だった。