ダー

リリーのすべてのダーのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.5
はじめはリリーに向けた目線で眺めていたけど、途中からそれは間違いで、これは妻ゲルダの人間愛の物語なんだと気がついた。

愛する人を自らの手で失っていくつらさを無理やり飲み込みながら、夫の危機には常に寄り添っていく大きな愛に頭を垂れ、ただ脱帽した。

手術の後、痛みに苦しむリリーに、私がいるから大丈夫、という言葉を掛けられる心の強さ。ラスト、風にとんでいくストールに、そのままにさせてあげて、と空に向かって話しかけた言葉に、ゲルダの愛の全てが表されている。

愛は、相手を自分の理想や妄想と同化させていく術ではなく、相手の存在そのものを心から尊び、そのままにのびやかに生きさせてあげることだと、この映画からも学べた気がしました。

愛は、本来切なく孤独なものなのかも。
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