人とは何と不思議な生き物で、そして愛するということができる崇高な造形物なのだろう・・・
ゲルダの愛を見てそんな風に思えました。
主演のエディとアリシアの演技のぶつかり合いが素晴らしい・・・
芸術家夫婦を演じているのですが、エディとアリシアの愛と苦悩に満ちた、さながら歌舞伎の「道行」のような愛の形に見惚れてしまいました。
特に愛しているからこそ、受け入れる、性同一障害という言葉さえなかった時代背景ですから、生活と夫という「彼女」を背負って生きる苦しみは計り知れません。
でも、異形の形でも愛は愛なのです・・・
脇も素晴らしく、光り輝くようなアンバー・ハード、異世界に連れ出そうとするベン・ウィショー、力強く魅力的な、マティアス・スーナールツ・・・
二人を支え、時には惑わせ、時は流れていくのですね・・・
最後のシーンは特に抽象的で美しかった、この景色と最後を映画館で見ることができただけでも本当に良かったと思いました。