ねこじた

リリーのすべてのねこじたのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

正直、エディの女装ってどうよ?と思ってたけど、読みの、斜め上の展開。かなり真摯にトランスジェンダーと向き合い描かれただろう脚本、素晴らしかった。

ちょうど1年前の春、全きホーキング博士のエディに、こんなにすごい演技を知らしめて、次、大変ちゃうか?と彼の今後を勝手に心配したものですが、杞憂。
前作超えの繊細で大胆な演技、その役者魂は、演技によって自分の寿命を削ってるんじゃ無いかと思われるぐらいの肉迫。

仕事も辞め向かうのは覗き部屋で、裸婦の動きを真似る妖美な指と哀しい顔。
性同一性障害の治療法が、あろうことか股間に放射線を充てるという馬鹿げた方法で、裸でベルトで縛られ晒され苦渋と屈辱に満ちた泣き顔。
思い出しただけでも胸が千切れそうになる。いつの時代でも性的マイノリティは、理解されぬということで想像を絶する孤独と苦しみを味わい、その治療法や理解は中々追いつけぬ、医療においては、最新と言えど、人体実験なんだな。
無知が生む罪に嫌悪感でムカムカした。

もう一つの物語。アリシア演ずるゲルダ。皮肉にもかなりの男前だった。伴侶の問題から逃げずに向き合い見守り支え、理解しようと寄り添い成長していく強い姿に色々考えさせられた。本物の愛だった。
子どもの居ない彼女にとって、突然現れたリリーは、ある意味、子どもでもあったんじゃないかと感じた。

そして、ベレー帽のベンウィショー。彼はほんま、ある意味、主役食いやと思う。エディとベンの共演、個人的に大満足。

最後に、犬だ、犬!犬が、もう可愛くて可愛くて。このシリアスなヒリヒリした作品を、アニマルセラピーさながら、抜群の愛らしさで中和。

この途轍もない演技のエディを差し置いてアカデミー賞主演男優賞を取ったディカプリオ…、どんなんやねん、否が応でも期待高まるわ。
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