実に見応えのある作品だった。前半は自身が女性であると自覚するまでのアイナー目線、後半はリリーとなった夫に対して苛立ち葛藤し受容するまでのゲルダ目線に変わっていく。二人の描く絵画も抑圧的なアイナーの画風と、あくまで肖像画に拘り明るい画風のゲルダ。この対比は面白かった。
実際にリリー・エルバの写真を見たが、エディ・レッドメインの再現力はさすがに凄い。裸も映像処理が入るかと思ったが、そのまま上映したのは素晴らしい。勿体ないのはベン・ウィショーとのシーン。まるで学芸会のように滑稽に見えた。それも狙いなのかな？だとすれば脱帽だけれど。それにしても現代ですら偏見の多いトランスジェンダー、1920年代にここまでのことをやり切ったという勇気とそれを理解し支えた妻がいたという事実への驚き。
アカデミー賞は最優秀助演女優賞のアリシア・ヴィカンダーだが、これは主演ですよね？
