アカデミー賞発表前から、映画館で観ようと思っていた
リリーを演じたエディレッドメインというより、その妻役のアリシアヴィキャンデルに興味があったから
その直感は間違っていなかった
夫のなかに突如別人格（リリー）が現われ、心理的に不安定になっていく彼（彼女）を精一杯支える妻ゲルダ
心のなかでは、仲睦まじく暮らしていた頃の夫に戻って欲しいという願望に駆られながらも、リリー自身の幸せを一番に想っている
僕が考えるに、この妻の役は健康的、活動的でなければならない
神経質な感じや感受性が強すぎるひとは向かない
心身ともに弱っていく夫の横にいながら、心理的に巻き込まれてふさぎこんだりせず、ぐっと歯を食いしばって立っているスタンスが必要だ
例えるなら、「ノルウェイの森」（村上春樹）に出てくる緑みたいな感じ
そういう女性をアリシアはきっちり演じていた
評判通りエディレッドメインは喝采に値する怪演だった
けれど、一番そばで戸惑い悩む妻ゲルダの気持ちや行動がはっきりと描かれてこそ、この映画が成り立っているんだと思う
