ヨシイコウタ

リリーのすべてのヨシイコウタのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.6
3週間ほど日本を離れていたのでしばらく映画を観れていませんでしたが、昨日帰国して今日はオフだったので早速観に行ってきました。

『リリーのすべて』という作品名ですが、主人公はゲルダも含めた2人であるように思います。リリーとゲルダそれぞれの、誰一人経験したことのない闘いが物語のすべてです。トランスジェンダーの認識がほとんどなく、その道のプロである医者たちですら簡単に「精神異常」の烙印を押す時代。社会的にも精神的にも想像を絶する苦しみをたった一人で抱えながら、自分が自分であるために最後まで闘い抜いた彼らは、後世に生きる同じ苦しみを抱えた人々を今も鼓舞し続けていると言います。

エディ・レッドメインの役作りが凄まじく、進行していくにつれて段々と本物の女性のような雰囲気をまとっていく姿は、眠っていたリリーが目を覚ましていくかのようで目を奪われました。
また、本当の自分として生きるための選択が、単なる早とちりではなく果てしない葛藤を経て決断されたものであるということ、これがしっかり伝わってきたのが良かったです。

ゲルダの境遇も観る側の心を刺すものでした。淡々とした彼女の立ち振る舞いからは見えにくい内側の部分で、混ざり合う葛藤と欲望、愛情が彼女の首を絞めているのを見ているのはかなりきついものがあります。「すべてきっとうまくいく」と願うも、なかなかそれは実現しない。それでもそれに屈せず、大いなる愛のもとに流れる涙を拭った彼女は本当に美しかったです。

ここまで書きましたが、疲れているせいかいまいち物語に入り込めなかったのが正直なところです…
DVDになったらもう一回観てみたいと思います。