みうら

リリーのすべてのみうらのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.0
原作『リリーのすべて』を読了後に鑑賞。世界で初めて性適合手術を行った男性アイナーが、女性としての性のを自覚し男性として生きることができなくなり結果的に手術に踏み切るのだが、彼を献身的に支え続けたのが妻ゲルダである。

原作も映画もトランスジェンダーの話というよりも、彼ら二人のの愛の物語を軸としているのだが、わかりやすさも求めてか、原作よりも映画の方が、女性の心と男性の体という葛藤をより表しているように思えた。また、リリーという女性を演じることとなる契機を、愛する妻を傷つけたくないという一心に集約しているようにみえるが、原作ではもっと複雑で自然にリリーが存在し、アイナーとゲルダの間に収まっていくように読めたので、映画の展開は急過ぎるような気がする。

夫と鑑賞したのだが、夫の方が衝撃を受けていたように思う。また夫の感想として、絵画的な撮影技法が徐々に現実的な撮影へと展開していくようだと述べていたが、確かにリリーの発現が多くなればなるほど、最初に出てきた風景画のような映像がどんどんなくなっていき、それはアイナーが風景画を描けなくなった経過を表しているようにも思える。

ゲルダを支えるアイナーの幼馴染のハンスが、見た目も役柄もめっちゃ男前だった。もちろん原作も男前である。
みうら

みうら