ベルサイユ製麺

レーサー/光と影のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

レーサー/光と影(2014年製作の映画)
3.1
なんかギターポップバンドの両A面シングルみたいなタイトルですね。…今はそんな物ないのかな?女性のロードレーサーが主人公です。
ロードレース!なんと言っても、弱虫ペダ…。いやすいません!そんな事、偉そうに言えない。バイバインかけた栗まんじゅう並みの勢いで増え続ける単行本のペースについて行けず、ブックオフに持って行ってしまいました!ホントすいません!45巻以降がちょっと高く売れました、すいません!!

…ロードレースの事なんて何にも知りません。
自転…車?

若くしてカナダ女子ロードレース界にその名を轟かすナショナルチームのエース、ジュヌヴィエーヴ・ジャンソン。彼女の驚異的な走りを支えていたのは、禁止薬物であった。実話です。

冒頭、遠征先のホテルの一室。トレーニング中のジャンソンの側でコーチであるJPは電話で彼女の両親と談笑している。電話を渡されたジャンソンは世間話をしながら、躊躇いもせず腹部に注射を打つ。それ程に日常的な光景なのか…。
突然インターホンが鳴り、ドーピング検査員の抜き打ちチェック!JPはエレベーターの小細工などで時間稼ぎをして、その間ジャンソンは何かの点滴を打つ!早く点滴通そうと、点滴袋を強く握って流血!室内ローラーで心拍を上げる!半ベソで!!!
…そして検査員の前に、涼しい顔で現れる。検査は見事クリア。

こんな事が日常化しているって訳です。なんとも悍ましい…。スポーツマン精神が云々、とかの話以前に、単純に危険過ぎる。実際、摂取量のミスで昏倒し、死を覚悟する描写なども有り、ドーピング行為が如何にスポーツの根本の精神性に反する、歪なものであるのかを思い知らされます。
それほどのリスクを背負って、何故ドーピングを?ってなると、例えばトップならではのプレッシャーだったりとか、個々の事情があるのですが、ジャンソンの場合は、“コーチに必要とされたい”ってのが大きかったようです。コーチは既婚で有りながら、地位と名声を守る為に、愛を餌にして、結果的にジャンソンにドーピングを強いていて、彼女はそれに従うしか無かったのですよね。しょんぼり…。
で、おかしな数値が出続けるジャンソンの不正の証拠がついに明るみに出て…というのが後半の流れです。打たないと限りなく勝ち目は薄い。打つと確実にチェックが入り失格。ジャンソンの決断は…?
撮影や編集のテンポ、劇伴もセンス良く、全体的に出来は悪くないのですが、いかんせん元の実話が割に小さな大事件なので、映画としては展開に乏しく思えてしまいました。
レースシーンは、本物ぽくて良かったですけどね。ジャンソン役のロランス・ルブーフさん、自転車のシーンもご自身で演じているそうで、見事な役者魂だと思いました。なんかお人形ぽい、というかプラスティックな質感のべっぴんさんです。

それにしても、好きで始めたはずのスポーツが義務になり、重大な責任を負うようになってしまうとはどんな気持ちなのでしょうね…?ドーピングしてしまう気持ちとは?
自分は仕事中、たまにロッカーに置いてあるウヰスキーの小瓶をグビグビやる事があるのですが、アレと同じですかね?ですよね??いやぁ、隠れて飲むのと格別なんだよなぁー。