アリ

ふたつの名前を持つ少年のアリのネタバレレビュー・内容・結末

ふたつの名前を持つ少年(2013年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ユダヤ人であることを手段としてではあれ否定して生き延びた少年の心に残っていた父との約束が、エスニシティの自覚に立ち返らせ「祖国」へと導く、という思いっきりユダヤ人視点(そのこと自体は仕方ないというか当然なのですが)のハッピーエンドなのですね。

残念なことに現在の東アジアの端でこれを見る私は、ユダヤの苦難の歴史と、イスラエルが抱える現在進行形の民族弾圧とを切り離せない居心地の悪さに、どういう感想を持っていいのかわからなくなってしまいました。

メインの逃亡劇も少年目線であることがそうさせるのか、彼を売ったり庇ったりするポーランドのひとびとが、いまいち立体的に感じられなくて。
一方で自然の残酷なまでの美しさは印象的です。
人間は(こういう場合、彼を逃がしたり匿う人道的な選択をした場合の顛末まで含めて)残酷なだけですもんね。
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