豚肉丸

檻の中の楽園の豚肉丸のレビュー・感想・評価

檻の中の楽園(2012年製作の映画)
4.1
動物園に住んでいる動物たちの生態を捉えたドキュメンタリー映画。

固定ショットで動物が入れられた檻、職員達の労働作業、動物園に来た客達の様子をただ淡白に積み重ねていく。ドゥニ・コテ監督の『Joy of Man's Desiring』では労働作業と機械に絡め取られていく労働者の姿を撮影していたが、本作では「動物園」というシステムそのものを撮影しようと試みているのが面白かった。
人工物と動物との対比、共生を意図したようなショットが多いのが印象的。檻の中に入れられた動物を網越しから捉えるショットが多いのは明らかに人間から動物を捉えた視点を表しており、度々人間が動物をスケッチしたり動物の造形を作っている作業の場面が挟み込まれるのも、人間の視点によって形作られる動物の表象を表しているのかなと思った。しかし本作はそれを批判する訳でもなく、あくまでも動物園の風景を捉えたドキュメンタリーに留まっているのが良い。風景を捉えることに徹している。やはりドゥニ・コテ監督らしく構図の一つ一つも素晴らしく、全体に蔓延る乾いた空気感が伝わってくる映像もまた凄い。
なかなか印象的なドキュメンタリー映画だった!
豚肉丸

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