17年ぶりに再会しても
簡単には元どおりにはならない。
アメリカでは児童の誘拐がすごく多いとテレビで知った。
この作品では、誘拐された人が返ってきた後にスポットをあてている。
戻ってきた娘と対面した時にハグしていいかしらと、確認してから抱くシーンに、17年という何月の隔たりと母親のもどかしさを感じた。
本を片手に一生懸命に
娘とコミュニケーションを取ろうとするのだけど空回りしていた。
犬を飼う、ビーズを一緒につくる、信頼関係を築くゲームをする、など。
母親やカウンセラーと対面してる時に、娘は育ての親(世間では誘拐犯)のことを思い出す。
父親は献身的に母親をサポートするけれど、価値観の違いから母親から遠ざけられてしまう。
あの家族は誰も悪くないと思う。大切に育てたとはいえ、誘拐した男が、家族に大きな問題を作ってしまったのが悪い。
親子が一緒に居る時間を奪い、名前と誕生日を変え、地下の一室に監禁し、病院は悪だ、窓から外を覗くなとか監禁に都合の良い情報を刷り込み、教育を受ける機会を与えなかった。
客観的に見るとクソ野郎なのだけど、回想は娘視点で彼女にとっては微笑みながら振り返る様な時間みたいだ。
厄介なのは、認知が異なる点なのだよな。娘にとっては育ての親。両親世間からしたら誘拐犯。その男を非難すると娘が傷つく。その男の教育を否定すると、娘のこれまでを否定される。
誘拐事件の当事者達が抱え得る厄介な問題を描いた作品だと思う。