LalaーMukuーMerry

光をくれた人のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
4.5
いつものように予備知識ゼロで見始めたのですが、美しい風景と音楽で始まるこの作品、おっ、これは名作かも!の予感・・・
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予感どおりの美しくも切ない、とても心に刺さった映画でした。 「八日目の蝉」(2011/JP)や「最愛の子」(2014/中国)と似た、生みの親か育ての親か、幼い子をめぐる争いの物語なのですが、DNA鑑定なんて言葉もなく想像さえできなかった1920年代、孤島という特殊な舞台の特殊な出来事のために罪悪性がとても希薄に感じられ、多くの人は主人公の育ての母に共感を覚えるはず。(生みの母がかわいそうなのは当然だけど) 
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運命のいたずらか、世の中は狭いというべきか? 父親は自分たちの行いによって、嘆き悲しんでいる母親が近くの町にいることに気づき、苦悩することになる。第1次世界大戦の戦場で罪の意識を背負い、灯台守という仕事について、贖いの静かな暮らしを望んでいた善良なキリスト教徒だった父親。
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彼は妻に内緒で、ある行動にでることによって、物語は急展開をはじめ・・・
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わずか4年の出来事なのに、その時期を誰と過ごすかは幼い子にとっては決定的に大切。生みの母にとっては残酷な現実・・・
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見た後の印象は私の中では「マディソン郡の橋」(1995/US)に近いかもしれない。無駄のない構成と演出で、美しい親子の物語に仕上がってました。ラストに泣きました。
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<おまけ>
舞台となった厳しく美しい風景のヤヌス島とはどこにある? インド洋と南極海をわけるオーストラリアの島というヒントからGoogleマップで懸命に探したが・・・無い! Google Earthでインド洋の中の中央海嶺や島弧がありそうな場所を集中して探してみても・・・やはり無い! オーストラリアの西側と南側には島はほとんどない。タスマニア島か、ニュージーランドの南にあるオークランド諸島くらいしか候補となる島はない(どちらも「インド洋と南極海を分ける」という条件を満たしてないからハズレ)。どうやら架空の島にようだ(ちょっとがっかり)
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ならばロケ地は? こちらはすぐに分かった。ニュージーランド南島の北東の端、クック海峡の東側入り口にあるキャンベル岬。あの風景と灯台は島ではなく半島の突先だったのですね。