Osamu

ナオトひとりっきり Alone in FukushimaのOsamuのレビュー・感想・評価

4.0
東日本大震災の後、福島第一原子力発電所から12㎞の富岡町にひとり残り、置き去りにされた動物たちの世話をし続けるナオト(松村直登)さんを映すドキュメンタリー。

震災関連のドキュメンタリーはいろいろ観てきたけれど人が住めなくなったエリアに深く入り込んだものはこれが初めて。人が消えた街に漂う虚無感に圧倒された。

ただ、ナオトさんが動物たちと生きる世界は「ムツゴロウ王国かよ」とツッコミたくなるような動物たちの楽園にも見える。誰も近づくことができない秘密の楽園だ。

震災から6年も経つけれど、こんな人がいるなんて初めて知った。海外のメディアには取り上げられているみたいだけれど、日本のマスメディアに登場することは無かったようだ。これもタブーなんだね。

震災関連のテレビ番組を制作する仕事をしていた監督もこの企画を却下された経緯があるそうだ。で、仕方なく自身で映画を作ることに。測定器の針が振り切れるような放射線量の中にスタッフを投入することはできないと、1人で現場の仕事をした。この人、すごい。

楽園は放射能によって外敵の侵入から守られ、放射能によって汚染されている。

明らかにナオトさんが1人で負うべきものではない。本質的に何かが間違っている。

第4回グリーンイメージ国際環境映像祭にて。

ナオトさんを取り上げた別の作品『残されし大地』が今月11日から公開される。
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