TAK44マグナム

キャノンレースのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

キャノンレース(2014年製作の映画)
3.8
やたらとクルマがジャンプするノルウェー産スカイミッション(笑)


世にも珍しいノルウェー産の公道バトル映画。
とは言っても雰囲気は何処かホンワカムードで、シリアス70パーセントコメディ30パーセントぐらいの比率。
母国では「ワイルドスピード/ユーロミッション」を抜いて大ヒットを記録したらしいです。
日本でも一時期、こういうスポーツカー文化を扱った公道バトルものがたくさん作られましたけれど、道交法がきつい現状では迫力あるレースシーンなんてサーキットでもない限り撮れません(だから「スピードマスター」のようにショボいCG頼みになってしまう)。
そう思うと、いまどきこういう映画が撮れるのが羨ましいですね。
ちなみに、カースタント映画の巨匠であるハル・ニーダムに本作は捧げられています。
そんなわけで、中身はバッチリ「キャノンボール」していますよ。


速度違反120回を誇るチューンドショップオーナーのロイは、別れた奥さんから二週間、娘を預かるはめになります。
そんな頃、ライバルであるレーサーのTTから挑戦されたロイは、国土横断2200キロのレースを提案、多くのストリートレーサーたちが参加するこ。
ひょんなことから娘を助手席に乗せることになったロイ。
優勝を目指す親子の前に、TTの卑劣なドライビングや様々なアクシデント、そして警察が立ちはだかるのでした。
はたして、レースの行方は?親子の絆は取り戻せるのか?


世間一般の評価だと微妙な感じですが、お話はサクサクと進むし(その代わり、主人公を筆頭にキャラクターの個性が弱い)、個人的にはとても楽しく鑑賞できました。
第一に、クルマ、それもスポーツカーに興味がなければ観ても面白くはないと思います。
逆に、アメ車好きやトヨタの86好きにはもってこいの映画ではないでしょうか。
主人公の駆るマスタング、ライバル車のド派手な86、さらにナイトライダー仕様のトランザムなどが実際に公道を走り抜けてゆく様は単純に格好良いです。
冒頭でTTがドライブするスープラが、まさにザ・チューンドって感じでハートを掴まれました。やっぱり日本車が肌に合うんですよね〜。

田舎の一本道なんて、実に気持ち良さそうなドライビングシチュエーション。
レースしている感が若干薄い気もしますが、まあ、気にしない気にしない(苦笑)。
道なき道を無理やり走ったり、そりゃ無理だろ!といった非現実的でバカなシーンもあったりしますが、気合の入ったドリフトも披露されるし、正統派のクルマ映画と言って差し支えない出来栄えであります。

ギャグ関係は、寒くて凍えるほどの酷いギャグは無いし、それなりにちゃんと笑えるレベルに達していると思います。
警察ヘリでのやりとりには思わず吹いちゃいましたよ(笑)
・・・でも、ラストは完全にやりすぎでしょう!
それまでの感動は何だったんだ(苦笑)!
もしかしてオチで・・・と誰もが想像するかと思いますが、あまりにもブラックが効きすぎたオチに苦笑いするしかなかったっす!
あの後、どうなっちゃったんだろうか・・・(汗)


俳優さんたちは個性的なのですが、いかんせん華のないルックスの方が多く、娘ちゃんも可愛いけれどチョッピリ下ぶくれに見える時があったりして、プニプニ系が好みならよござんしたね・・・ってな具合。
ロイとTTも近所のオッサンにしか見えない風貌ですしね、俳優さんを愛でて楽しむタイプの映画ではございませんな。
例外的に、実にエロそうなロイの彼女と、眉毛もキリリとしたジミー少年は北欧らしいグッド・ルッキング!でしたよ。

それにしても、北欧でも、あんな風にスポーツカーを楽しむ文化が根付いているのですね。
あんなにマッスルカーが走っているとは知らなんだ!
我が日本ではミニバンやSUVばかりがもてはやされるようになって久しいものの、最近はクーペや2シーターのスポーツタイプが脚光を浴びる機会も増えてきている気がする今日この頃、たまにはこんなクルマバカ映画を観るのも一興かと思います。

かつて、テレビドラマの「ナイトライダー」でジャンプするナイト2000に心が踊った世代や、煙をもうもうとさせながら連続ドリフトやマックスターン(笑)をキメまくるトヨタ86のかっこよさに痺れちゃうぜ!という方限定でオススメしておきますぜ〜。



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