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ダライ・ラマ14世のアリのレビュー・感想・評価

ダライ・ラマ14世(2015年製作の映画)
3.9
監督の視点が明確なので、とても見やすい映画でした。
日本とチベットのわかりやすい(見ようによっては陳腐な)対比を見せつつ、最後のシーンに選ばれたダライ ラマ 14世の言葉で、その向こう側へ理解を進められるのかもと思えたのが良かったです。

あまりに違うように見えるものが、俯瞰してみるとやはり同じ世界で起こっていることだと感じられる、その繋がりを知る方法の一つが彼らにとっては仏教哲学であり、しかし私たちには一体何があるんだろう。
(そこがわからないから、I don't know.と言われてしまう質問ばかりしてしまうのでしょうけどね)

何故、彼がああした抵抗の手段を選ぶのか、文化と宗教の思想そのものが現実に対する政治的行動と結び付いていることが、彼自身のメッセージだけでなく、チベット仏教の輪郭や亡命先のこども達を取材することで引き出されてくるのもわかりやすかった。
非暴力や教育の重視は、理想主義とも思われがちですが、とても現実主義的な一面がありますね。

一方で武力での独立を願っている「少数」のひとびとってどんな立場なのかとか、あるいは勉強を続けているうちにチベット人コミュニティの理念からはみ出すひともいるのじゃないのかな、とそんなこともちょっと想像したり。
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