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Wの悲劇のプレコップのレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
4.2
芸は身を助け、滅ぼす

最近、宮本浩次がNHKの番組で本作の素晴らしい主題歌をカバーしているのを見たので、元ネタを観た。

原作小説を劇中劇に落とし込むアイデアがはまっていて、劇と現実がリンクするというストーリーに惹かれる。芸能界のステージに立つためになにを犠牲にするかという問題を取り上げており、その結論の是非は置いても、今作が1980年代の映画であることを考えると新鮮に映る。

薬師丸ひろ子と世良公則の、芝居というフィールドにおいて対になる2人の関係も効いているし、最後に本当に高木美保を殺しにかかるような残酷な演出も良かった。三田佳子演じる羽鳥がかおりを追い詰めるシーンと静香を庇うため演劇の上っ面の倫理を攻撃するシーンの緊張感にもしびれた。

一方で劇中劇は無駄に仰々しい感じがする。演出家・安部役で出演もしている蜷川幸雄によるものだが、彼の演出する舞台を全く観たことのない自分にはあまりその魅力が伝わらなかった。
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