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ローリングのoden8のレビュー・感想・評価

ローリング(2015年製作の映画)
3.5
天職だったと自負する教師からの、望まぬ転職。それが人生のローリングの始まり。
クズはどんなにカッコつけて転がったところで。凡庸な人間にはなれへんし、転生もできない。
自分の犯した数多の過ちと愚かさに気付き、天を仰ぎ立ち直ることのできへんショックを噛みしめる。
それでも、転がり続けるんはクズの未知。
先生、あたなが教えてくれたことは。クズがクズたる所以。クズの方程式ですか。

教師がクズなら教え子もクズで。クズ ミーツ クズ。クズはクズを引き寄せる。救い様のない負の連鎖。
人が、己で自分に与えた役割を放棄した時。表も裏もクズのメビウスの輪で転がり続ける。

作品に漂うのは、クズが放つ特有の倦怠感で。マイナスオーラが飽和状態。
俳優陣の巧みなクズっぷりと、クズさの演出がリアル。何を見せられているのかという疑問と。自分も、ひょっとしたらクズなんじゃなかろうかという疑念に浸れるのねん。

人には、己が望む望まねぬは別にして役割がある。それを放棄した時に。または、その役割を誤認した時に。人はクズとカテゴライズされてしまうのかもしれない。

物語に登場する元教師のクズっぷりに、ヒドイ胸焼けを感じるも。何故か、不思議と見続けていられる。それは、自分への戒めか。自分より下の人間を見て、僕はこんな人間じゃないという傲慢さか。
この、胸の奥がズキンズキンする嫌な感覚。それが返って、妙に心地よかったりもするのよね。

一度、クズの門を潜ってしまうと。そこから卒業することはできないのだろうか。
転んだことのない人なんていないよね。そこから、転がり続けるのか。立ち上がることができるのか。転がり続けるにも、それなりのエネルギーがいるわけやから…どっちが正解かなんてわからんけど。
人間、みんながみんな強いわけやないし。そこまで弱くもないでしょ。と、願いたいし。僕は、役割を大きく外れない程度には強くありたいよね。

Cast(役者·キャラ) 4(クズップリ💞)
Story(物語) 3
Architecture(構成) 3.5
Picture(画) 4
Acoustic (音) 3
104
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