砂場

ローリングの砂場のレビュー・感想・評価

ローリング(2015年製作の映画)
4.3
公開時に劇場で見て大傑作だ!と思い今回アマプラで見直してやはり大傑作だった。

高校教師だった権藤(川瀬陽太)とその女のみはりが飲み屋街を逃げる場面から本作は始まる。権藤は10年前に生徒の女子高生の更衣室を盗撮し高校をやめたのであった。当時の女子高生から賠償を請求され逃げていたのである。
権藤を匿ったかつての教え子の貫一はみはるに一目惚れし権藤から奪う。
その盗撮ビデオにはタレントとなった女子も写っており、権藤と元教え子の繁夫たちは映像の入ったディスクをタレント事務所に高額で買い取らせた。

その映像が流出したことから、権藤と繁夫たちは5000万円の賠償金を事務所から請求され、、、どんどん転落していく彼ら

権藤は本当に下らない動機で下らない行動しかしないクズ人間だが、どことなく全体にペキンパーのような死の匂いのする犯罪劇の雰囲気が流れている。

役者たちの顔つきが実に良い、権藤、貫一、みはる、繁夫たちメインキャラもそうだし、ちょい役の弁護士、事務所社長、事務所の顧問など、、全員が一癖ある危ない人物である。
中でも主役の権藤をやった川瀬陽太の演技は素晴らしい。教え子に金をせびり、立ちションし、隣の奥さんに牧場の朝は早いぞーと言いながら関係を迫り、、、、その上教育者風なことを時々のたまう。クズとしか言いようのない人間だが小高い丘の上で金儲けの話の時の笑顔は実にチャーミングであり、こんなクズに女性がころっと言ってしまう心情もわかる気がする(わからないがw)

多額の賠償金で錯乱した繁夫が保険入れよ〜と言いながら電動ドライバーで貫一を追う場面は日本映画史の残る歪んだ邪悪さが出ている。

死の匂いで始まった本作は死で終わる。この円環は果たして閉じたのか、あるいは別な形で再び始まるのかは分からないが権藤は来世でもまたクズなのであろう
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