小川勝広

クイーン:ロック・モントリオール1981の小川勝広のレビュー・感想・評価

5.0
IMAXの技術が、
レジェンドに追いついた。

ロジャーのフォーカスだけはキレキレだった。
ティンパニ、ドラ、定位置に、
トップと正面のライティングが決まっていたから光量が安定、
絞りも一定で集中できたのだろう。
背後から狙うカメラはキューブリックが開発途上のステディなのか、
おとこまえが更に光っていた。

一方フレディは動きまわるので、逆にフォーカスがきてないカットが神々しかった。

脇のブライアン、ジョンが黙々とこなす職人技も効いていた。

カメラは正面三方、両舞台袖、ステディっぽいカメラ、
5台以上は使用して、当時のフィルムの感度でも充分にIMAXで魅せてしまう技術の高さと、その意図を反映させたリマスターの技術の両方が凄かった。

2024年の技術が、
1981年の伝説に追いついた。

【蛇足】

80年代前半、
DEVOやポリス、
メン・アット・ワーク、
ユーリズミックス等々、
ジャンルにはカテゴリーできないバンドがいっぱい出ては消えていった。

クイーンはもちろん、
ビートルズやストーンズ、70年代以前の音楽を聴いているのはカッコ悪うーと言われ、
それと共にレコード店がCD店に変わっていった。

そして、

イギリスではBANDAID、
アメリカではWE ARE the world、

そしてLIVE AID。

衛星生中継は、
日本のアナウンサー、
キャスターはバンド名を知らない、
中継映像は途切れる、
多くのバンドの演奏も急成だからかガタガタ、
ツェッペリンまで待とう、
司会がジャック・ニコルソンだから我慢しよう、
やっぱり無理があるんじゃないか、
時差含めての二元中継、
観るのをやめようとしていた時、
声とピアノと拳で、
約7万人の観客と世界中のテレビの視聴者を、
ひとつの巨大な波に変えてしまったのは意外にもクイーンだった。

フレディがまた世界をひとつにしている。