藍川

セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターの藍川のレビュー・感想・評価

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写真集も、凄いなとは思ったけど、自分は全然理解できてないんだろうなと思ったからこの映画を観た。
セバスチャンサルガドがどういう写真家なのか知らなかったから、本当に観てよかったと思った。彼が、死体を写しつづけて、何度も泣いたというところに、ほっとしたというか、この人は善き人で、善き人が精神を破壊されながら撮り続けた写真を、しっかり見なければと思った。こういう人が報道写真家であるというのが、救いであるというか、なんというか、最近のニュース番組とか見てると、マスゴミって思うけど、これが本来の報道で、そういう人が撮ったものを見て、見た側は、何かしたい、何かしなければという気持ちになるんだなと思った。写真は、きらきら加工して楽しく消費するためだけのものじゃないんだな。
人間の愚かさに打ちのめされて、疲れ果てて、自然の写真を撮る方向に移ったというのはとても印象的だった。自然は決して懐柔できるのものではなくて、いっそ暴力的なものだけど、手をかけて時間をかければ応えてくれる、というより在るべき姿に戻っていく。人間は、自然よりもちっぽけで、人間だけで生きていけないのに、自然より傲慢で暴力的で、いつもおなじ間違いを繰り返して、今もウクライナやガザは、サルガドが打ちのめされたアフリカ、ユーゴスラビアと変わらない地獄を強いられてる。私がそれらを止めることはできない、無力だと思うけど、無力から逃げずに、できることをしていきたいと思った
藍川

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