福福吉吉

おろちの福福吉吉のレビュー・感想・評価

おろち(2008年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
大女優の門前葵(木村佳乃)の暮らす屋敷に謎の能力を持つ少女・おろち(谷村美月)が潜り込む。葵は姉の一草と妹の理沙を厳しく育てるが、その裏では門前家の女性に受け継がれる呪いのような体質があった。おろちは門前家の悲しき運命を見届けようとする。

◆感想◆
門前家に伝わる恐ろしい体質とそれに翻弄され、精神的に追い詰められていく様子を描いた作品であり、「おろち」は時を超える超常的な存在としてその悲しき運命を見届ける形でストーリーを進めていきます。

本作では前半は門前葵(木村佳乃)の主役としたストーリー、後半はその数十年後の成長した一草(木村佳乃)と理沙(中越典子)の姉妹を主役としたストーリーが進んでいきます。葵と一草を木村佳乃が一人二役で演じていることがストーリーの肝となっており、後半に上手く生かされていました。

門前家の女性に伝わる体質は前半に明らかになりますが、そこには女性としてかなり悲しいものになっており、それ故に門前家の女性たちが苦しみ、精神的に追い詰められていく流れになっていました。このあたりの木村佳乃の狂う演技が凄まじく、本作の最大の見どころだと思います。

一方、おろちは傍観者として存在しており、特異な能力をしばしば見せるものの、前半ではそれがストーリーを揺るがせるものにはなっていませんでした。しかし、後半になるとおろちの姿にそっくりのヨシコが登場することで、ストーリーに変化を持たせていて良かったと思います。

ラストはストーリーを捻って意外性を持たせており、個人的には凄く好みでした。

なかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2023年10月1日
鑑賞方法:DVD
福福吉吉

福福吉吉