KnightsofOdessa

The Thin Blue Line(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Thin Blue Line(原題)(1988年製作の映画)
2.5
No.779[それは社会を混沌から守る"境界線"] 50点

1976年11月。職探しのためにオハイオを出たランダル・アダムスとその弟は、感謝祭の夜にダラスを通りかかる。そこでランダルは仕事を得ていたからだ。その週の日曜日、間違えて出勤した帰り道、彼の車はガス欠で動かなくなった。そこに通りかかったのがデヴィッド・ハリスである。彼は16歳の少年で、近所から盗んだ車に父親の拳銃を乗せてテキサスへ向かう途中、ダラスに着いたのだ。ガソリンスタンドまで歩くランダルをデヴィッドを乗せていき、二人は意気投合した。そして、ある夜、パトロール中の警察官が射殺される事件が発生する。逮捕されたのはランダル・アダムズだった。本作品は『Gates of Heaven』(1978)、『Vernon, Florida』(1981)に続くエロール・モリスの監督三作目で、彼の名前を一躍有名にした作品だ。その理由には並の映画では敵わない。死刑囚が冤罪だったとして釈放されたからだ。ヘルツォークがCBCのインタビューで語った"映画は世界を変えられないが、銃なら変えられてしまう"という発言に真っ向から挑む形になったわけだ。

警察関係者、アダムス兄弟、目撃者、弁護士、そしてデヴィッド・ハリスを含めた関係者へのインタビューと、彼らの証言を基に構成した再現VTRを巧みに張り合わせることで、一つの事実に導く。逮捕されたのはランダルだったが、真犯人はデヴィッドだったと。そして、本人の自白らしき発言まで収めている(アホか)。そして、ランダルは本作品の公開を以て12年間の囚人生活に終止符を打つことになった。

ただ、インタビュイーの名前が一切出てこないので、誰がどういう意図で発言をしているのかが全くわからないのは問題な気がする。そして、画面にも物語にも運動が足りなさすぎて、大学の講義を聴いてる感じ。クライテリオンはこれをリマスターしたんだが(そして私はそれを観ているんだが)、その必要があったかどうかは謎。
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