烏丸メヰ

マーメイド NYMPHの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

マーメイド NYMPH(2014年製作の映画)
2.3
モンテネグロに遊びに来た女性とその親友。
現地で合流した元カレには既にフィアンセがおり、更におもしろ男の友人も加わって、五人で“地図から消された島”へ探検に出発するのだが……。

ニンフ(女精霊。某ポ○モンの名前の由来)、中でも海の恐ろしい精霊であるスキュラとかセイレーン的な種族をモチーフにしたホラー。

ストーリー演出面ではかなり観にくいテンポと消化不良。
まず若者達の痴情のもつれや酒飲み等が前半およそ40分を占めるスロースタート。
あと、ホラーシーンと思わせといて即違った、的な“ハズしスケア”も(怖いBGMにしてまで)捩じ込むの!?みたいなセンスが独特。

更にモンスターモチーフの映画でありながら、主人公らを襲うメイン恐怖はモンスターではないとか、島一つを敷地とする入りくんだ建築内でのチェイスなのに同じ場所のカットが繰り返される為、逃げ回る行動範囲が把握しにくい(広いのか狭いのか分からない)等、恐怖周りの作り方で、個人的にはやや怖さを削がれてしまった。

ラストを、片付いたと見せかけてまた広げつつ、的な、アメリカンB級ホラーみたいにしたのもちょっとびっくり。


とは言え映画としての個性や視覚的な楽しさはあり、モンテネグロの美しい海や要塞跡等、風景はどれも美しく、この映画の舞台ならではといったシーンが多い。
急なガチゴアや、ニンフのデザインと神話・伝説にわりと忠実な描写は◎。
レンズフレアやゴースト等の光の効果を多分意図的に使ってるカットにも幾つか惹かれるものがあった。

『人魚姫』に影響されていない、伝承の水妖的なマーメイドやニンフが好きなので、美しさと醜悪さと恐ろしさを描いたこの映画のニンフは結構お気に入り。
烏丸メヰ

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