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僕と世界の方程式のCookieMonsterのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
3.9
自閉症で数学に才能ある男の子が旅を通して数学以外の美しいものを知る物語

自閉症の主人公が日々感じている孤独が鑑賞者に寄り添ってくれる瑞々しいロードムービー
自分の中にある感情を言語化することが苦手だった男の子が旅を通して数学以外の表現を会得していく過程は叫びたくなるほど愛らしい
理解されないことによる隔世感と孤独
自分が特別だと思っていた能力の否定
誰かを好きになることで変わっていくもの
これは自閉症だけではなくて、青春時代に誰もが感じる、私たちの物語だと思う

数学のような解のある整然とした美しさ
愛のような解のない混沌とした美しさ
世界にあるさまざまな美しさを描こうという意思が感じられて、それがこの作品をとても魅力的にしている

好きな子とのキスで男の子が覚醒する様は、まるでお伽話のようだけど、その希望的観測こそこの作品の骨格をなすものだと思う

気になった点も数多い
例えば、自閉症の登場人物たちが突如として自分の気持ちを言語化できるようなところとか、眼鏡の女の子の果たす役割のご都合主義なとことか、数学の先生がALSである必然性とか、安易で希望的過ぎるラストとか

それも全部引っくるめて、明るい未来を信じたくなる希望的解釈が私はとても好きだ
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