大道幸之丞

インデペンデンス・デイ:リサージェンスの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『インデペンデンス・デイ』から20年後の物語。filmerksで検索しても分かる通り『インデペンデンス・デイ』にあやかった別モノ映画が夥しく登場したがやっと本当の「続編」が本作。

当然前作の主要登場人物がまたぞろ集結してくる。

アメリカは映画の国でもあり、政府が撮影に非常に協力的だと聞く。本作も色々不満がたまりつつあり転換期を迎えているような国家アメリカ合衆国民に団結と「新たな独立記念日の精神」を訴えかけているように感じるのはうがった見方であろうか。

今回は前回敗れ捕虜になっているエイリアン救出と地球のコア(マントル)を盗りに直径4800km(!)の巨大宇宙船が地球を覆う。

その前に月面前線基地に謎の宇宙船が接近するが突撃精神旺盛な管制司令部は迷うことなく攻撃を選び大破させる。

この残骸の中から、自らも彼らに滅ぼされたと語るバーチャル意志化した、地球人からみると「味方」のエイリアンであった事が判明する。あとから彼らから「未知の存在に無闇に先制攻撃してしまう地球人」としてたしなめられてしまう。このあたりは往年の名作「宇宙戦争」を思い出してしまう。

脚本として早々とがっかりしてしまったのは飛来するエイリアンは「絶対的な女王が司っている」設定にしてしまった事。SFファンならば『エイリアン2』を思い出さない者はいないだろう。これで「とにかく“女王”を倒せば勝てる」と随分早い段階で解決策が提示されてしまう。

前作もそうだったが、本作も兵士達の“人間のぬくもり”を表現するために色恋沙汰を挿入し、親と子の物語も重層的に包含している。気になったのは大統領の娘パトリシア・ホイットモア中尉(マイカ・モンロー)の扱いだ。

本作撮影当時は22,3才あたりだった事になるが、終盤本筋と無関係に彼女のショットがやけに挿入される。

これは明らかに“売出し目的”の誇張であろう。1940年〜1950年代のグレース・ケリーやイングリッド・バーグマンの映画で彼女たちがアップになるとなぜかソフトフォーカスがかかりきらびやかになっていた不自然さを思い出した。

30才になった現在のマイカ・モンローはとりたてて目立つ女優ではない。しかし当時は彼女の何かしらの背景からプッシュがあったのだろう。

また近年のアメリカ映画では目立って、レイシズムの流れから白人と黒人と東洋人を起用する流れがあり、この映画もその配慮がなされているが、スター・ウォーズといい何より「物語の世界観」を優先したキャスティングを心がけて欲しいし、これ以上違和感のある作品作りはやめてほしいと切に願うのではやく政治的状況がフラットになって欲しい。

予算もキャスティングも奢った作品であるが、エイリアン側の背景設定はもっと深みが欲しい。日本人の私からするとエイリアンが地球に来る理由が次第に「ウルトラセブン」の「ある程度共感出来る的な」宇宙人達と変わらなくなってきている。