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ヒメアノ〜ルのTSのレビュー・感想・評価

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.3
【今年最凶クラスのサイコパス邦画】
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監督:吉田恵輔
製作国:日本
ジャンル:犯罪
収録時間:99分
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これはえげつないですね。全くノーマークでしたが、鑑賞ポイントたまって無料ということで鑑賞。結果、お金を払った『エンドオブキングダム』より満足度は高かったです。まず最初に申し上げますが、ほぼ犯罪映画です。かなり胸糞悪いのでその辺りが許容できない方にはオススメできません。

塗装業のバイトをする岡田は、バイトの先輩安藤が片思いしている女性が働く店に行く。すると、その店には岡田の幼染みの森田が黄昏ていたのだが。

経緯は知りませんが、原作のこの問題人が森田という名前だから、俳優も森田さんがしてるのでしょうか?(笑)何にせよ背筋が凍りつく演技を見せてくれました。犯罪映画と申しましたがそれを超えてる、サイコパス映画といったほうが良さそうですね。自分がいじめられた経験から、人を傷つけることになんの躊躇もない森田。その行動は徐々にエスカレートしていきます。

僕が今まで見た映画の中で恐らく一番オープニングが始まるのが遅い映画です。あの場面でタイトルと主要キャストの名前を出してくるとは、センスがありすぎて鳥肌が立ちました。長かったここまでの話は余興。ここから本作は始まるのか!と不穏な感情を抱かせながらも劇場にいる人たちはそう感じたでしょう。

R15は妥当でしょう。見ていていろんな意味で精神的に辛い。気まずい描写もあり。なのである程度の覚悟をして見に行かれた方が良いかと思われます。
ヒメアノールとはトカゲの一種であり、意味としては強者の餌となる弱者という意味です。

今作が凄いと感じたのは、単なるいじめに対する復讐というものではないからです。確かに最初は、森田はいじめをしていた河島には憎しみを持っていたと思われ、復讐をします。しかし、それ以降は復讐という物を超越した何かを森田から感じ取ることができます。この現代社会の不条理に逆らうかのような狂気の沙汰と化してしまいます。そこには人を傷つける痛みという感情は皆無。簡単にいうなら ヤバイ人というところです。やはり、過ごしていた環境、施された教育によって人の性格の大部分は確立されるように思えました。

また今作において、警察は全く役に立たない存在です。あれほどの凶悪事件が多発しているのに全く動けていない。現代の警察の事情を揶揄してるとも捉えれますが。

やはり今作の大将は森田さんでしょう。見ているこちらも恐怖を覚えるほどの迫真の演技でした。他の方々もよかったですが、やはり森田さんを前にすれば掠れる。
まだ今年の半分もいってないですが、今年屈指のサイコパス映画と思われます。99分しかなかったのに異様に長かったです。辛い光景というものは長く感じるものなのでしょうか。非常にブラックな映画を見たい方にはオススメです。
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