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ヒメアノ〜ルの346のレビュー・感想・評価

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
3.8
漫画家、望月峯太郎が座敷女で笑いを捨てように、その彼に憧れた漫画家、古谷実もヒミズの帯に、「笑いの時代は終わりました…これより、不道徳の時間を始めます」と書いた。

当時、自分はその転換に立ち会って、古谷実よ。君には無理だ。とヒミズを古本屋に売り払ったのだが、古谷実は諦めなかった。
望月峯太郎のような狂気だけが支配する世界は描けなかったが、彼は笑いを散りばめることにより古谷実しか描けない狂気を生み出した。その到達点がシガテラだったように思う。

そんな彼がシガテラ以降、一貫として描いたのは死と隣り合わせの生である。
脈略などなく、偶然そこを通りかかったからという理由で人が殺されてしまう現代において、逆を言えば、偶然そこを通らなかったことで人は生きているということ。何も知らず人は生き延びているという綱渡りの生が彼の漫画にはある。


とまぁ、なんで古谷実のことを書いてたかと言うと、好きだからでありまして。そして、その古谷実らしさがこの映画にあったかと言われれば、あったと思います。

でも、映画にする以上、漫画以上のものを求めてしまうわけで、それがあったかと言えばどうかな?と言った感じです。

それなら漫画読んでたらいいかなぁと。いや、吉田恵輔は素晴らしい監督だと思うので、彼じゃないとここまで出来なかったと思うし、三池崇史や、園子温が撮ったらその古谷実らしさは失われていたと思うのでそれはすごく嬉しい。ほんとうに。

でも、どんな感想を書けばいいのか、わからなくなって、途中で書くのをやめたかんじは否めません。

笑いと死はよく似ていると、北野武は言いましたが、この映画には2つの映画が合わさっているだけにしか見えなかったのかな?漫画だとどれだけ違う世界でも同じ漫画家が描くわけで統一感はでるのだけれど。
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