よしだま

それでも、やっぱりパパが好き!のよしだまのレビュー・感想・評価

3.8
 1970年代後半のボストン。一家の父であるキャムは双極性障害のせいで失業を繰り返していた。やがて生活に困窮してきた家族を助けるために、妻のマギーは週末には必ず家に帰ることとして、家族を置いてニューヨークの大学院へ進学することを決意。
 愛情を上手に表現できず娘たちに不器用に接する父と、そんな父にあきれながらも愛情を返す娘2人という、3人での新しい家族生活が始まる。


 原題はInfinitely Polar Bear。双極性障害を意味する英語「Bi-POLAR」とかけたかわいい原題です。それとはまったく違う邦題にはなりましたが、これに関しては邦題も優しくて好きだなぁ、と個人的には思っていたり。
 本当に娘さんからすると、「それでも、やっぱり」なお話しなんですよね。

 双極性障害を抱えた彼はいわゆる大人なお父さんではなくって、幼い彼女たちより子供っぽいところもあって、うるさいし、奇妙で、遊びに行くのについてきたがるしで、娘からしてみればお父さんが邪魔だなって思う時だって何度もある。
 けれども彼は(だいたいは)目いっぱい娘に愛情を向けようとしてくれていて、娘たちはそれをきちんと感じられているシーンがたくさんある。
 だから「それでも、やっぱり」。まだ子供でありながらの父への理解にじわっと泣きそうになります。ラストはあれが今生の別れでも何でもないのにグッとくる。

 このお話は実話で、監督をされた方がその娘さんのポジションなんですよね。優しいつくりのお話しで、それは、娘である監督さんがお父さんからの愛情を充分に解っていたからこそ。
 それからあの家庭はどんな風に今を迎えるまでに至ったのかまで気になっちゃうなあ