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サウスポーのmugihoのレビュー・感想・評価

サウスポー(2015年製作の映画)
3.7
19.05.16

実はですね、ボクシング映画を観るのは初めてでしてね…(怒られそう 来ていた人みんなすごい熱心そうで私なんだか浮いてる感が)これを観に行こうとあんなに熱心にfilmarksの試写会に応募したのもジェイク・ギレンホールをみたいがためだったんですよ 本当にね、彼のためなら、みたいな雰囲気の文章書いていました

※少しネタバレしていますが、予告編の範囲内だと思います!
前置きはまぁどうでもいいよね、いざ本題へ!

ぎらぎらしていましたね うん 相変わらず たぶん彼のそこにすごく魅かれるんだろうな、と再確認(あとは彼の肉体美!彫刻みたい、本当に!シンプルに美しいという言葉で済んでしまうよ あれでパーカーのフードをかぶるのがたまらない!)

はい、いい加減に本題へ笑
今作品もある意味の『ナイトクローラー』
目の奥底にある凄みがぐわって襲いかかってくる、あの感覚 間違いなくナイトクローラー復活です 彼はやっぱり狂っています でもそれが最高にいい

ストーリーはいたってシンプル(こんなこと言ったらまたまた怒られるかな〜)四連覇を達成したビリー、妻のモーリーンに支えられて、娘の応援とともにボクサーとして生きる そしてそのあとすぐに悲劇が襲う 彼の愛したもの、それらはみんな瞬く間に消え去って、まるですごろくで一気にスタート地点まで戻ってしまったみたい そして認めることができないんだ 自分のせいだったっていうことが

ボクシングになると人間の複雑な葛藤とか思いっていうのがこう物理的なものとして浮かび上がってくるから、すごくストレートで観ていて自分も身体が痛くなってくる でも同時にそのまっすぐさにスカッとする、それが醍醐味なのかな、なんて考えながら観る

怒りという感情は必要なこと でもこの世界で生きていく人たちはたぶん他の人より何百倍もこの「怒り」っていうものと真剣に向き合っていかなければならないんだと思う 衝動的になれば、簡単に相手を倒すことができる 問題が一気にエスカレートする その一撃で、すべてが変わってしまう 今作品ではそれが現実とリングの上での大きな共通点であり、トリガーとなる

人生何が起こるかわからないっていうのは本当で、自分がどんなことをしでかしてしまうか、それはその瞬間に放り込まれてみないとわからない でもそこからどうしていくかっていうのはいくらでも選択することができる

ビリーは選ぶんだ 「守る」ということを それは残された自分の娘のためでもあって、そして自分自身、自分を愛してくれたモーリーンをも守ることにつながっていく そうやって守ることを選択した彼はもう後戻りできない

これからがどうなろうとたぶん彼は立ち上がることができるだろう
自分を守ることを学んだ人は強い 守った自分がいて初めて彼は周りを守ることができる

そして血が流れるわ、流れる(当たり前なのか?)
目は腫れてつぶれて、身体中はあざだらけ 守ることを知らなかった彼の最初の試合、もうそれはひどいもの 顔面に何回食らったらいいんだ、もうこっちが痛いからやめてって叫びたくなるよ 本当にあの時の彼は正気じゃなかった 家族を愛していたかもしれないけれど、それは自己中心的な愛だったよね

真正面からのショット、迫ってきます ここで、冒頭で書いた「ぐわ」っていうのがきます そしてビリー自身の目線 漂う目はモーリーンを探している 相手の隙を見極めている 常に変わっていく角度によってスクリーンに引き込まれ続ける 無駄に感情的な雰囲気で固めずに、リアルさを追求しているから、ここだ!っていうところで感情パンチをくらいます

最後の試合でも血が流れる 顔面パンチ食らう でも不思議と違う 逃げるべきときに逃げる、踏む込む時には思い切りいく プライドは捨てて、その代わりそこには彼の覚悟と意志が宿っている
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