ぱりぱり

仁義なき戦い 頂上作戦のぱりぱりのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)
4.0
毎回、最後に原爆ドームとともにナレーションがあるが、今回は特にその映像とナレーションがリンクしているようだった

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こうして広島抗争事件は何ら実りなき終焉を迎え、やくざ集団の暴力は市民社会の秩序の中に埋没していったのである。だが、暴力そのものは、いや、人間を暴力に駆り立てる様々な社会矛盾は、決して我々の側から消え去ったわけではない。
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ヤクザとは本来一般社会から疎外された(あるいは馴染めなかった)人たちの集まりであり、自分たちが生きることのできる社会を作っていたそう。戦後すぐ、社会全体が混沌としていた時代には、社会の隙間を縫って彼らなりの社会を作ることができたが、社会が均一になるにつれて、居場所がなくなっていったのかもしれない。幕引きは寂しい。
でも、上に立つ人間の器が大きければ、もう少しましな結末になっていたかもしれないと思わなくもない。脚本家の笠原和夫の調査によれば、冷徹だがここぞという時には懐の深さを見せる親分もいたそう。
広島のこの結末を見て、「市民社会」で組織として生き延びるため、エリートを擁する企業化が進んだそう。これまで一般社会に馴染めない人たちの受け皿となっていたのに、なんともいえない趨勢。