Yoshishun

仁義なき戦い 頂上作戦のYoshishunのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)
4.3
“最大の抗争、終焉”

『仁義なき戦い』シリーズの1つの節目ともいえる4作目。前作で語られた「いつだって事を起こすのは若者である」「まず死ぬのは若者」というモノローグの通り、山守会vs打本会&広能組&明石組の巨大抗争の発端が、後先考えずに突っ走る若者たちの強襲によるものである。菅原文太演じる広能と彼を取り巻くヤクザの世界の1つの終焉が前作以上のアクションで描かれる。

抗争が始まれば、次から次へと組長や若頭レベルの大物が死体となり、後の深作作品と同様、無慈悲に映される「死亡」という文字にやるせなさを感じさせる。直前まで呑気に酒を呑んだり、温泉に浸かっていた者達が、揃いも揃ってここまでバンバン殺しや検挙が続く展開も恐らく後のヤクザ映画の数々(『アウトレイジ』3部作など)が真似した程には衝撃的なものだったのだろう。

ラストシーンで平和の象徴であると同時に、非情な戦禍の歴史を象徴する原爆ドームが長々と映し出されるのも、本シリーズで描かれてきたような裏切りと暴力の世界は決してヤクザだけではなく、戦争そのものであったと痛感させられる。あんなに親分として冷静に威厳を見せつけていた広能と武田も、警察に捕まればただの罪人と変わらない。雪の降りしきる真冬の独房で、裸足の草履で収監されていく彼等の姿に彼等なりのケジメを感じ哀愁が漂う。

さて、本作で1つの区切りがつき1番完結編っぽい作りであるにも関わらず、何故か5作目となる『仁義なき戦い 完結編』が存在する。まあ『アウトレイジ ビヨンド』も完結しておきながら『最終章』と名打たれたエピローグとなる3作目が作られたように、恐らく出所となる広能の物語のエピローグとなるのだろう。不安は大きいが、この壮大な任侠5部作の結末はしかと見届けたい。
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