キヲシ

仁義なき戦い 頂上作戦のキヲシのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)
3.5
原爆後敗戦後の広島を舞台に約20年間、混乱期に咲いた仇花は市民社会の秩序に飲まれ散っていく…。「はだしのゲン」から「仁義なき戦い」そして、最後のナレーション通りの世界が続いている。最初にこのシリーズを見たときは、山守だの槙村だの打本みたいなのが幅を利かすわけないじゃろと思ったが、いやいや無茶苦茶リアルな話だと納得させられている今日この頃。裏金先生らと同じじゃないの。廊下に並ぶ菅原文太と小林旭の雪駄が寒々しい。「代理戦争」「頂上決戦」における小林の存在感は見事。金子信雄は拉致した加藤武を前作同様に執拗に侮辱する場面で本領発揮。同類相哀れむじゃなくて憎むだな。小倉一郎(ケロイドの残る母親が原爆スラムで古紙回収業を営む)が下水道で警官らに捕まる哀れな若者役。哀れといえば病気で先の見えている組員の情婦ミエコ(渚まゆみ)と元彼。望まぬ再会、雨の車中の濡れ場を外から撮影、夏八木勲にばれて元彼の無惨な(掌が、鼻が)最後へ。筒先を斜めに切った銃で襲撃する黒沢年雄や夜の繁華街で吠える小林稔侍らが次々に散っていく。復活した梅宮辰夫、松方弘樹もまた退場していくが…。いよいよ未見の「完結編」へ。
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