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マドラス・カフェのBaadのレビュー・感想・評価

マドラス・カフェ(2013年製作の映画)
4.5
277本目はスリランカ内戦にまつわる真面目なスパイ映画。

ずいぶんと前に見た良作映画ですが、ずっとレビューしようと思ってそのままになっていました。私は英語字幕で見ましたが、今現在ネットフリックスで日本語字幕付きが簡単に見られます。

スリランカ内戦に関連してインドの首相の暗殺計画を阻止しようとした諜報部員の物語で過去形で描かれる時点で社会派であることはお察し。

アクション俳優としても知られるボリウット随一のイケメン俳優ジョン・エイブラハムが主演、記者役でナルギス・ファクリーが助演ですが、豪華なキャスティングから想定されるスパイアクション+ラブコメ的な展開はありませんので、お間違いのなきよう。

とにかく救いのない凄惨な出来事を淡々と、しかしものすごい筆力で描いていて引き込まれます。

タミル・イーラム解放の虎/LTTEって、自爆テロ世界で最初に始めたのね。ちなみに、ヒンドゥー教徒が多いタミル人のゲリラ組織で、作中ではLTFというそれらしき名前で出てきます。

内戦が終結した後のスリランカは平和だったそうですが、インド映画色々見ているとそんなにすんなり収まるんだろうかと少し疑問に思ったりもします。

監督は、『ヴィッキー・ドナー』『ピクー』などで映画賞を総なめにした社会派の名監督で、主演のジョンも硬派の映画もよく手掛けるプロデューサーとしても知られ、プロデューサーに名を連ねています。

ErosNow配信・英語字幕

(2019/4/25記 一部修正)

付記:スリランカ内戦関連の映画(比較的見やすいもの)
『マッリの種』
『ディーパンの闘い』
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タミル・イーラムの虎関連ではほかにマニ・ラトナムの「頬にキス」がありますね。こちらはフィルムセンターで福岡アジア映画祭関連のフィルムを特集した時に見たので、多分福岡のライブラリーということで、見るのはちょっと難しいでしょうね。フィルムセンターか民博あたりだと特集上映できそうですが。

関連でネットサーフィンしていて、そういえば、「マッリの種」と「頬にキス」はタミル系の映画であることに気づきました。見た時から妙にテロ組織に甘いような気がして気になっていたのですが、独立運動と地続きで、在外タミル人の支援も多かったということを読み、911前後ののテロ対策って、必ずしも対イスラムじゃなかったのかもしれない、と思ったりしました。

因みに、ジョンはクリスチャンとばかり思っていたら、パルシーとキリスト教のルーツを持つ役者さんらしいですね。

(2019/4/25記)

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映画製作の背景など
2020/5/8

2011年から爆破テロに関わって服役していた受刑者たちの釈放の動きがあり、それが物議を醸していたようですね。

詳しくはこちら↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9068/

爆破テロがインドとスリランカで盛んに行われ、それがなぜかイスラム過激派にも広がっていったという記述があります。

ラジヴ・ガンディー元首相暗殺は映画の前提ですので、ネタバレにはなりませんが、ネタバレかもしれない映画独自の視点については、コメント欄に書きます。
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