横山ミィ子

ウイークエンドの横山ミィ子のレビュー・感想・評価

ウイークエンド(1967年製作の映画)
1.0
初ゴダール。途中までは「なんやこの人々」と思いつつも楽しく観ていたが、文明化について(?)の長い長いセリフのあたりから、「この残虐で血生臭くて狂った出来事の数々は、宗主国が植民地でやってきたことのメタファではないか」と思い始め、そう考えるととても面白がれなくなった。

そもそも、鑑賞前の注意喚起が必要だろう。表現が生々しく気持ち悪く、暴力や性虐待を思わせるシーンもあり、過去のフラッシュバックが起こる人もいるのではないかと心配になった。グロテスクな表現(私も決して平気ではない)が苦手な方も要注意。早く終わらないかなと辛い思いをした。鑑賞後、ビルの消火栓のホースまで死体の足に見えてくる始末。帰り道にビールでもと思っていたのに、すっかり食欲をなくしてしまっていた。

現実世界の残酷さの毒にあてられたのかもしれないが、単にゴダール表現の毒だったかもしれない。人間のむごさを伝えるために、血を使わないという方法もあるものだ。ゴダールは頭の中に思い浮かんだイメージを、人のためにやわらげるとかぼかすとかせず、ありのままに叩きつけてきたのだろうか。

何しろ相手が巨匠だからか言いたいことを言ってしまったが、強烈な美意識で人間を描き出す作品はあまたある。ゴダール作品も強烈だったが、自分としては「もういいかな」という結果となった。
横山ミィ子

横山ミィ子