「二度といっしょに仕事をしたくないわ。」
ー ミレーユ・ダルクのゴダールについて
「勝手にしやがれ」ミシェルとパトリシア、「気狂いピエロ」フェルディナンとマリアンヌ。そして今回の「ウイークエンド」ではお互いの思惑が重なりあったロランとコリーヌ。
ゴダールに出てくる輩は男でも女でもなく「男女」がお互いに異体同心で動き廻る。しかし不意に挿入される反対色のタイポグラフィのようでもあり、反撥し合う関係でもある。
カウンセリング中のあからさまの性の告白では、あえて逆光のカットから音楽のヴォリュームをあえて大きくしてセリフを聞きづらいいほどに、すべてを否定をするのがゴダールなりの肯定。
見どころである話題の長回しの渋滞シーンは監督自身による政治と性のしがらみ。そして社会的ジレンマが具現化して書き出された心象世界。地獄絵図でもあるが曼荼羅のような美しさもある。60年代では最後の商業映画ではあるが、後の五月革命の予兆もあるのか、事故で燃え上がる炎は情熱の象徴であり、不安からの怒りや混沌が入り乱れている。
(撮影監督のラウル・クタールは職人気質のテクニシャンだが、今回はそれ以上の仕事をした。)
詩人ロートレアモン伯爵の朗読からの引用、極左ゲリラ、森の中のドラム。あいも変わらずメチャクチャだけど、博識でスノッブであることは誰もが知っているし、もう分かったよ。でも鼻につかないのはなぜだろう。
何回みても新たな発見がある映画。
[ブルーレイによる購入・視聴]