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父を探してのhasseのネタバレレビュー・内容・結末

父を探して(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブラジルのインディペンデントアニメ映画。出稼ぎに旅立った父を、幼い子供が探す旅に出る冒険ファンタジー。

まるで絵本に命を吹き込んだかのような手描きタッチや鮮やかな色彩に最初から目を奪われた。アニメならではの空間の切り取りかた、つくりかた、幾何学的モチーフを取り入れた事物の造形がとても好き。父親が旅立った駅のプラットホームのショットで、父親が消え、プラットホームが消え、周りの草木が消え、白い空間に主人公が一人取り残される場面とか秀逸。地中に埋めた笛の音を閉じ込めた筒を、老人になった主人公がラストで掘り返し蓋を開けたとたん、父親と母親と、幼い主人公の映像が甦るシーンはかなりグッとくる。

農場から工場へ、都市へと旅を続け、ブラジルの現実を反映したのであろうリアルな描写とアニメの自由なイマジネーションが溶け合い、独創的でじんわり沁みる作品に仕上がっている。
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