幽斎

パーフェクト・ルームの幽斎のレビュー・感想・評価

パーフェクト・ルーム(2014年製作の映画)
4.0
オリジナルは2008年ベルギー制作「LOFT ロフト.」ベルギーで10人に1人が観たと言う触れ込みで、私の様に米英ばかり観てる身では、先入観が無く逆にそれがサスペンスを盛り上げ大いに楽しめた。2010年にオランダ制作「LOFT 完全なる嘘」と言う作品でリメイク。此方はオリジナルとほぼ同じもラストの展開が異なる。本作の特徴は入れ子状態の物語に時間軸を加え、完全に思える密室トリックを素人がどう暴くのかが焦点だが、どちらも聞き慣れないオランダ語と言う事も有り、早晩ハリウッドがリメイクすると聞いて楽しみにしていた。出来上がった本作はオリジナルより脚本が整理され観易くなった分、オリジナルの怪しい深みが足りない点がマイナス。

ハリウッド版では男優陣が豪華で、Wentworth Miller(ゲイをカミングアウト)、渋さが似合うKarl Urban、良い人っぽいJames Marsdenと繚乱なメンバーなのだが、描いてる世界観が実にゲスいので(笑)女性と見るのはお薦めしない。物語は結構しっかりしたミステリーなのだが、倫理的に共感出来るかと言えば大きな疑問符が付くので、其処が評価の分かれ目かと。絵的にはとてもスタイリッシュで、それと本筋のミステリーが解けていく様はベルギーで大ヒットした事も頷ける。但し本作はアメリカナイズされた倫理観の元に制作されている為、本作唯一の瑕疵である動機がより弱まっているのが残念。ハイソなエロテッイク・サスペンスと片付けるのは勿体ない、評価の難しい作品。

女性目線で考えると男のファンタジー全開なのですが、男は結婚して一生浮気はしないと誓って結婚する訳ですが(ですよね?)、男と言う生き物はその時々で自分の行動を正当化するモノ。浮気だってその時は真剣でないと楽しめませんよね、その愚かさが本作ではとても都合よく描かれてる訳で、女性から見れば男のバカさ加減を再確認できる作品と為っております(反省)。

この作品がそれなりに面白かった方は是非、オリジナルのベルギー版もご覧ください。実はErik Van Looy監督はオリジナルと同じ監督。オチが分っていても、そのお国柄のテイスト違いが楽しめると思います、お薦めです。
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