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最後の1本 ペニス博物館の珍コレクションのcamusonのレビュー・感想・評価

4.2
原題は 「The Final Member」とシンプル。邦題は“ペニス”が余計ですね。“珍”と重なって、頭痛が痛い的なことになってます。

アイスランドに動物のチンチンを集める趣味を持ったおじさんがつくったペニス博物館があるそうです。ただ一つの種を除いて、すべてのほ乳類のチンチンを集めたというのです。
―――ホモサピエンス(ヒト)を除いて。

博物館のおじさんは、自分が生きている間に、最後のワンピース(イチモツ)を手に入れ、博物館を完成させたいと思い、提供者を募ります。

これに名乗りを上げたのが、母国アイスランドの著名な探検家で、90歳を超えたお爺さんです。若い頃には浮き名を流し、200人以上とヤッたと得意顔です。死後博物館にペニスを提供するという契約を交わします。

ところがどっこい、どこで聞きつけたのか、海の向こうから、自分のチンチン(エルモと命名)こそが適任だと、これに待ったをかけるアメリカ人の強者が現れました。

しかも特大サイズです。

ペリー来航です!黒船がやってきました!(アイスランドは遠いので、もっぱら電話とメールですが)

しかも、死後ではなく、生きている間に切断し、エルモが展示される晴れ舞台を自分の目で見たいという奇特ぶりです。

陰毛の生える皮膚も含めて切除し、まさに生きてそこにあるような展示方法、ディスプレー台を考案し、下に鏡を仕込み裏筋もよく見えるよう思案するなど積極的です。国の威信をかけて、エルモに星条旗の入れ墨も施しました。

これに対して、博物館のおじさんは、その大きさ・形の価値を認め、1人に限定する必要もないですから、基本ウェルカムな態勢でしたが、展示方法などが指定されるようになると、それは博物館が決めることだと困惑と不快感を示すようになります。

さらに、アメリカさんは、エルモのコスプレ写真を連日大量にメールしてきたりと攻勢をかけてきます。

―――続きは映画で。

ドキュメンタリーフィルムなのですが、
どこまでが真面目で、どこからがワルノリなのかの境界が曖昧でなかなか面白いです。主要人物(博物館のおじさんと、提供者2人)は、いたって真面目なのですが。

と言うのも、インタビューなどで競争相手の情報を耳に入れることで、明らかに競争を煽っているのですよね。相手が生存中に切断することを教えることが、おまえも生存中に切断しろという無言の圧力になっていて、それを聞いたときの元探検家の爺さんの顔が笑えます。

この爺さんは登場人物の中ではノーマルの部類です。新たなライバルは相当なツワモノで、博物館のおじさんも困り顔。変態を超えた変態に、変態が困惑し、辟易とするところ、なかなか面白いです。

博物館の設立発案者は奥さんのようです。奥さん「頼むから集めたチンチンを家に置かずに、博物館でも建ててそこに置いといておくれ!」
切なる望みからの苦肉の提案と思われますが、協力者、発案者みたいな言われようで笑えます。

しかし・・・
別に見たいわけじゃないけど、モザイク邪魔だな。

「べ、別に見たいわけじゃないんだからねっ!か、勘違いしないでよねっ!」
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