しちみ

僕たちの戦争のしちみのレビュー・感想・評価

僕たちの戦争(2006年製作の映画)
3.8

『もし戻れたら教えてやるよミナミ。60年前の戦争中の人間はな、俺たちとなんも変わんねぇんだよ。良い奴もいれば悪い奴もいて笑って怒って泣いて信じて怯えて悩んで誰かを好きになって自分のことを認めてもらいたくて。』


うん。泣いた泣いた。
ずっと見たいな〜とは思ってたんだけどスペシャルドラマの奴だし無理かな〜なんて思ってたらネット配信されてたから見てみた。

正直始めの方はCGが今に比べてもはやネタレベルでひどいし、ちょっとコメディタッチでベッドシーンなんか出てきちゃってなんだよこの戦争映画!なんて思ってたんだけど話が進むにつれ涙が自然に溢れた。
どこかの場面でグッときたとかじゃなくて本当に自然に。
自分の部屋で暖房を効かせて映画を見てる
今この瞬間がどれだけの犠牲を払って生まれたものなのか、忘れても決して消し去れはしない現実がそこにはある。

戦争映画なのに家族でのくだらない会話だったり恋愛要素が多いに取り入れられてるのは最後のセリフで納得した。60年前の戦争中の人間は今の人間と何1つ変わらないってことだ。
その変わらない人間たちに待っていた未来は特攻でお国の為に命を捧げるということ。お国の為に!お国の為に!って聞くと永遠の0を思い出すのですがこれとはテイストが全然違いますね。

個人的に1番切なくなったのは特攻前に茨城に戻る列車での会話でした。

"後悔してないんですか?"

ん?

"特攻に志願したことです。"

一応士官だぞ。
……その俺に聞くのか?

"………すみません"

ふっ…ふはは。してるよ。
でも空襲で焼かれた東京の惨事を見ただろう。祖国の惨憺たる有様を見て…自分だけ……今更自分だけ逃げ出すのもな。


この会話に涙が止まらなかった。
この時代の人たちは皆、生きることに忠実で貪欲で何より生と死が隣り合わせであることもよくわかっていたのだろうか。
己の命よりも祖国を大事に思い、自分の命と引き換えに大切な人たちを守ろうとした。

この人たちの命の上に、この人たちの勇気と素晴らしき愛国心の上に今の私たちが生きてるということを決して忘れてはならないと思う。
人間いつ死ぬかなんて分からないから少しでもこれから先の世代へ良いものが残せるように努力しなければならない。
もし、自分に子供が出来たら自分の命よりも大切だと言って一生守っていこう。
人を愛することの喜びを感じよう。

本当に素晴らしい戦争映画だと思う。
私も戦争なんてものは資料でしか見たことのない世代だけど決してこのことは忘れない。ぜひみなさんにも見てもらいたい映画でした。
自分の命を投げ捨ててでもミナミの家系を守ったケンタを誇りに思う。
最後はあまりにも悲しすぎた…。

"僕たちの戦争"
過去の人たちの戦争でもなく、他人事でもなく、正しくこれは"僕たち"の戦争。
しちみ

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