真一

僕たちの戦争の真一のレビュー・感想・評価

僕たちの戦争(2006年製作の映画)
3.0
 戦時中の日本兵🔫と現在の若者📲が、タイムスリップで入れ替わってしまうストーリー。森山未來が一人二役👥をこなす、TBSの2時間ドラマ🎬️です。「戦後日本のナンチャッテ平和主義」を問いたいという作り手の思いは伝わる。だが本作品🎥には、作り手自身の「戦後日本のナンチャッテ平和主義」も、無意識のうちに盛り込まれてしまっています。何とも皮肉なストーリー展開です。

 平成の世🏙️から戦時中🔥にタイムスリップするのは、金髪に染めたフリーターの健太(森山未來)👱‍♂️。海軍兵士・吾一(森山未來)👤と間違われ、なんと泣く子も黙る霞ヶ浦の海軍航空部隊予科練🛩️に入れられてしまう。一方の吾一👤は現在にスリップした後、健太👱‍♂️と間違われ、やむなく「健太」として日々を送る。健太の彼女・みなみ(上野樹里)🧏‍♀️も入れ違いに気付かず、吾一とラブホ🏩に行くなどする。

※以下、ネタバレを含みます。

 見所は、甘えたテキトー人間の健太👱‍♂️が、死ぬ思いをしながらも予科練🛩️に馴染み、皇軍教育👊😠を注入された吾一👤が、戸惑いながらも平成ライフ🏙️に順応するくだり。そして互いに、それぞれの時代の良いところ悪いところを知る。健太は予科練の人権無視☠️に、吾一は自分勝手な渋谷の若者💃に義憤を覚える。日本が戦争🔥をした歴史さえ知らない今の子供たち👦👧がこの作品を見たら、軍隊のしごき👊😠や特攻🇯🇵を擬似体験し、いい意味でのショックを受けるかもしれない、と思った。

 ただ、人間魚雷「回天」⚡😭💣️に乗り込んだ健太👱‍♂️の決め台詞には引いた。狂ったファシズム🔫、侵略🔥、人権無視☠️に怒ることなく、当時の人々👥が自分と同じ人間👤だったことを知ったという感慨を口にしたにすぎないからだ。

 「もしも(現代日本に)帰れたら、教えてやるよ。60年前の戦争中のみんなは🇯🇵、俺たち🇯🇵と何も変わらねえんだよ!いい奴もいれば悪い奴もいて、笑って、怒って、泣いて、信じて、怯えて、悩んで、誰かを好きになって(嗚咽)」

 これが、作り手が健太👱‍♂️の口を通じて、私たちに伝えたいメッセージのようだ。

 訴えるべきなのは、そんなことじゃなくて、戦前の「俺たちと何も変わらねえ」日本人🇯🇵がファシズム🔫に走り、そろって「天皇陛下バンザイ」を叫んで他国を侵略🔥し、挙げ句に国を滅ぼした💀という事実ではないか。「普通の人たちが気付けば軍国主義⚔️の歯車になっていた!すごい同調圧力の下で、みんな、感覚が麻痺している!俺は耐えられない!」ぐらいの台詞を、叫ばせるべきだったのではないか。

 トンデモな戦前🔥と決別して反戦平和国家🕊️の道を歩まなければいけないのに「アメリカ🇺🇸に防衛を丸投げしてポチになりつつ、その裏で金満生活をエンジョイすればいい」というお気楽な考えで進めてきたのが「戦後日本のナンチャッテ平和主義」です。本作品🎥は、健太👱‍♂️の決め台詞を通じ、戦前日本🎌と戦後日本🇯🇵のメンタリティーが地続きにあることを、図らずも浮き彫りにしたような気がします。
真一

真一