いろどり

緑はよみがえるのいろどりのレビュー・感想・評価

緑はよみがえる(2014年製作の映画)
3.5
第1次世界大戦開戦から100年にあたる2014年に平和を願って作られた映画。U-NEXT本日で配信終了。

第1次世界大戦下の北イタリアの激戦地の雪山で、オーストリア軍と対峙するイタリア兵の塹壕での様子を描いている。彩度を落とした映像にあるのは厳しくも美しい自然と静けさのみ。静寂から突如響きわたる爆撃音に飛び上がる。

徹底したリアリズムからは、前哨の兵士たちの戦いの無意味さ、せまりくる死の恐怖、守ろうにも守りきれずにさ迷う尊厳が映し出される。

これはエルマンノ・オルミ監督の父親の実体験の映画化とのこと。撮影監督はエルマンノ・オルミの息子、プロデューサーは娘が担当している。まさに家族一丸となって父親・祖父のカタルシスを手伝い、強い反戦の思いを引き継いでいる。

ラストの独白には、一般的な反戦メッセージ以上の、父親(祖父)への強い家族の思いが込められていることを感じさせる力強さがあった。

ジャケットやサムネはカラーだけど、カラー映像はほぼない。極端に色を落としたセピア調や白黒のような映像で、美しいけど画面が暗くて少し見にくかった。色味のない生命が奪われる戦地でも、時のながれにより緑はよみがえる。兵士たちの無念の思いをよみがえらせ語り継いだエルマンノ・オルミ監督の力作。
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