ひろ

緑はよみがえるのひろのレビュー・感想・評価

緑はよみがえる(2014年製作の映画)
4.0
深い雪に閉ざされ、寒さと死に閉じ込められた塹壕。けれどもここに描かれているのは、戦争の悲惨さよりも、愛するものに想いをはせ、尊厳ある人間でありたいと願う兵士たちの有様。この塹壕でうめいているのは、獣ではなく、一人ひとり名前があり、家族や恋人が待っている人間であるということ。カラマツやキツネをみて、故郷や平和に想いを馳せ、必死に人間性を保とうとしてる彼らと、それを無惨に打ち砕く戦争の現実がとても哀しい。そんな人間たちとは関係なく厳然と巡る季節は、やがて彼らの痕跡を消してしまうだろう。人間の哀しいまでの儚さ、詩的なセリフや歌に胸をつかれる。
ひろ

ひろ