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緑はよみがえるのskm818のネタバレレビュー・内容・結末

緑はよみがえる(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

多分第一次大戦だと思うが、ある山の上の方に設置されてるイタリア軍の塹壕での一夜。すぐそこに敵軍。歩哨が屋根で歌ったら向こうにも聞こえてウケてるレベル。大雪で一時休戦となっているところに少佐がやってきて、そんな前線なのにさらに前方に通信ケーブルを引けという無謀なことを言う。実際任務に送り出された兵士は速攻狙撃されて死ぬ。生きて帰れそうにない任務に絶望して自殺を図る者もいる。あまりの無謀さ、それに対して何もできない(命令は絶対なので)自分への絶望で、指揮官の大尉は軍位を返上して引きこもってしまう。少佐についてきた中尉が臨時の指揮官になる。彼が敵軍を攻撃するのをためらっている間に塹壕は砲撃を受け、犠牲者が大勢出る。実質的に攻撃を指揮した軍曹からもこれ以上の指揮を拒まれ、これからどうなるのか?と思っていると、司令部から撤退の命令が来る。彼らは戦友を葬り、静かに壕を出て行く…というような話。
夜だし話もどんより暗いが、その中でも、雪の積もったモミの林の静かな美しさや、鉄条網に吊るされたカウベルの音色、歩哨の歌声などは美しい。兵士たちはおそらく無学な人たちだったりもするのだろうが、それぞれに意思があり、この場にいることについての哲学がある。
あと、どうでもいことかもしれんが、こういう状況でも、居住部には天井も床も張られててベッドがあって、ストーブもあるんだよなあ。将校部屋には椅子やテーブルもある。毛布もある。壁には故郷の家族の写真なんかが貼られてる。いつまでそこにいるのかわからんし、粗末で汚い場所だが、それでも兵士たちにとっては一時の家みたいになってたんだろうなと思う。
任務で外で弾に当たって死ぬより壕での自決を選んだ兵士がいた。どうしようもない状況で、親や妻子や故郷を思いながらも、彼らはひとつの疑似家族みたいになっていたんだろうなと思う。
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